2022.01.16

CARS

ナローは名車中の名車! 4台の空冷911と最新の911を所有するオーナーのポルシェの楽しみ方とは

6年間で7台の911を手にし、最終的に新旧5台の911のオーナーとなった鈴木義則さんは、ただコレクションとして911を集めたわけではなく徹底的に自分好みに仕上げて、ガンガン走らせる趣味人だった。

「一度911に乗ってみよう」それがきっかけ

2台の間に50年近い歳月の差があるとは、ちょっと思えなかった。それくらい最新の911カレラSカブリオレの横に並ぶ、1972年型911E2・4タルガは輝いていた。この2台の持ち主は鈴木義則さん。デザイン会社などを営む実業家であり、わずか6年で7台の911を次々に手に入れた人だ。

内外装の組み合わせを選ぶのに30分もかけなかったという992型カレラSカブリオレに対し、911E2.4タルガは2度もボディの塗装をして当時の色合いの再現にこだわったり、ルーフやクランクなど部品の入手に時間がかかったり、首都高速上で止まってしまったりと、とにかく色々あったと鈴木さんは笑う。助手席上に置かれた当時の生地でシート中央部の張り替えを行うと、ようやく完成するそうだ。

「こうして並べるのは、はじめてですね。なにせタルガは仕上げるのに2年半かかりましたから」

そういって、鈴木さんは満面の笑みを浮かべた。6年前まではアウディA8やS8といった4ドア・サルーンを乗り継いできた彼が、はじめて手に入れたポルシェは、新車の991型カレラ4Sだったという。

「40代の後半になって、クルマに1人で乗る機会が多いのにサルーンである必要はないな、だったら一度911に乗ってみよう、と思って。それでディーラーに行ったんです」

東京と千葉、2つの住まいを週一のペースで往復する生活をしている鈴木さんにとって、911の魅力はバランスの良さにあるという。

「レーダーチャートってありますよね。911って運転性能、操作性、実用性、資産価値など多くの項目で満遍なく高得点を取るような感じ」

そう合理的に911を捉える一方で、デザインの面でもたまらないものがあるんですよ、と笑う。

「この斜め後ろから見た時の、ヒップラインが好きなんですよ。基本、クルマは艶。艶っぽさはやはりナローのタルガの方がありますね。歳を取ったせいかな。ナローみたいになりたい、911みたいになりたい、と思うんです。こうやって積み重ねてきたものって、唯一無二のもの。ポルシェは厳しい時期もあったけど、それを乗り切って今がある」

911Eは非常に珍しい2.4のタルガ(1972年・写真左)。入手に苦労した新品の脱着式ルーフはこの日脱着するのが初めてだったそうだが、フィッティングは上々。992型カレラSカブリオレ(2019年・写真右)は国内ファースト・ロットの1台とか。
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