2022.03.31

CARS

映画『私をスキーに連れてって』を思い出す、新車当時の姿のトヨタ・セリカGT-FOURが懐かしい! 「オリジナルにこだわるのは作り手へのリスペクト」というオーナーの言葉がグッとくる!!

トヨタ・セリカGT-FOURとポルシェ911カレラが並ぶ

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こうして矢作さんは自分のクルマが3台、仕事のクルマが1台、家族のクルマが1台の、計5台持ちになった。ところが時をほぼ同じくして、転機が訪れる。福岡と横浜の二拠点の移動に加え、海外の仕事もあって出かけてばかりのジェットセッターだったのに、福岡の大学に教授として迎えられることになり、移動時間を極力省いた生活へシフト。運良く大学から「歩いて200歩」のところに55坪の土地も見つかった。しかし事務所兼自邸を建てるにあたって、矢作さんが自らに掲げた条件は厳しいものだった。

「地方なのでクライアントが別のクルマで来ることもあって、あと2台のスペースが必要だったんです」

地下を掘ることも検討したが、最終的に1階に事務所と打ち合わせスペースを配置し、2階と3階に吹き抜けで繋がる家族5人の居住空間を構築。そして南側と西側、北側という建物の三方向をぐるりと取り囲むようにクルマのスペースとした。正面左手の屋根のある部分に2台、ガラス張りの芝生が敷かれた部分に2台、そして裏側に縦列で3台と、合計7台のクルマの居場所は、こうして見事に確保された。

矢作さんが北九州に住んでいて心底良かったと思うのは、走って楽しい山道が近くにあること。ロードスターは普段のアシだが、セリカで時々気持ちのいいワインディングを抜けた先にある温泉まで、ドライブに行くこともある。911は近くにある空冷専門店、ルフトキュールングの主催するツーリングに、先日小さなお子さん2人を乗せて、参加してきたという。

趣味性が高く、クルマの台数もそれなりにあるロードスターと911については、いざとなればメーカー公式のレストア・プログラムもあるし、専門店も多いので、今後も長く維持するのに不安はないだろう。心配なのはセリカですか? と尋ねると、幸いアメリカにはまだ部品があり、すでにパーツ・カタログなども確保しているという。

1階は矢作さんの事務所。彼の後ろに並ぶ建築関係の書籍の中にはポルシェやランチアに関するものも交じっていた。

先日もマフラーに穴が空いてしまい部品の個人輸入も考えたが、ふと思い立って自邸の目の前にある修理工場にお願いしてみたら、見事に溶接してもらって復活。以来、何かと懇意にしているのだとか。

ところで、実は矢作邸は、まだクルマを置くための余地が残されているのにお気づきだろうか? 鉄骨造で構造壁が不要なので、将来矢作さんがリタイアして事務所が不要になれば、1階を広いインナー・ガレージに転用できるのだ。その時のために、矢作さんは柱と柱のスパンを、ちゃんとクルマを置いてもドアが開けられるように広く取ってある。

「ディーノとランチア・ストラトスを入れたい。さすがにストラトスは白だと難しいでしょうし、アリタリア・カラーなら妥協してもいいかな」

準備は万端、とばかりに矢作さんはにこやかに微笑むのだった。

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文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=阿部昌也/鳥村鋼一写真事務所(竣工時) 取材協力=矢作昌生建築設計事務所

(ENGINE2022年2・3月合併号)

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